生命に対する罪
199条(殺人)・201条(予備)・202条(自殺関与及び同意殺人)・203条(未遂罪)
保護法益個人の生命
- 「人」の概念
- 身体を有する自然人を指し、将来成長の希望のない嬰児や、自然的死期の迫っている高齢者も含む。
- 「人」の始期
- 胎児の身体の一部が母体から露出した時(一部露出説・判例)。
- 「人」の終期
- 呼吸・脈拍の不可逆的停止及び瞳孔散大の三徴候を基礎として総合的に判定する(三徴候説・従来の通説)。
- 自殺関与・同意殺人の処罰根拠
- 自殺自体は違法だが可罰的違法性を欠く。他人の関与・同意殺害行為は刑法総則の共犯規定と異なる独立の犯罪類型として処罰される。
- 実行の着手時期
- 独立の犯罪類型と解する以上、教唆・幇助行為等の関与行為が開始された時点。
- 普通殺人罪との区別規範
- 死の決意・承諾について真意に沿わない重大な瑕疵がある場合は、被害者を道具として利用した間接正犯として普通殺人罪(199条)が成立する。
- 最判S33.11.21追死を装い青酸カリを与えて死亡させた事例。重大な瑕疵があり普通殺人罪成立。
- 福岡高判H1.3.24嘘をつき農薬を嚥下させた事例。欺罔により重大な瑕疵が生じ普通殺人罪成立。
- 最決H16.1.20暴行・脅迫で車ごと海中に転落自殺を強要した事例。普通殺人未遂罪成立。
Q1普通殺人罪(199条)
事案Xが追死してくれると偽り青酸ソーダをAに与えて自殺させた。
理由死の決意に真意に沿わない重大な瑕疵→被害者を道具とする間接正犯 最判S33.11.21
Q2業務上過失致死罪(211条前段)
事案水俣病。母Bが妊娠中に汚染魚を摂取、子Aが障害を負い出生後十数年後に死亡。
理由加害行為時に胎児でも、人の始期以降に死亡結果が発生すれば因果関係あり
Q3保護責任者遺棄罪(218条)
事案車で轢いた後、医者を呼ぶと騙し雪の車道上にAを放置して逃走。
理由先行行為で排他的支配を設定、欺いて危険な場所に置き去りは不作為の遺棄 最判S34.7.24